42条2項道路Q&A

42条2項道路・みなし道路の幅員規定、公道・私道の定義、セットバック、位置指定道路について初心者向きに解説。

◆道路斜線の後退距離の解説

◆道路斜線の後退距離

◆主な斜線制限の種類と内容(道路斜線・北側斜線・隣地斜線)

 建築基準法では、建築物の採光や通風などを考慮し多くの建築規定が制定されております。

 斜線制限とは、建築物の形状に関する規定です。

 童話や子供が描くお家は決まって三角屋根のおうちであるのが定番ですね。

 しかし、実際の建築物や住宅を見てみると、四角い家があったり、三角ではなく一方の屋根だけが高く急勾配の屋根になっている家も多く見かけます。

 また建築物の上部だけ極端に斜めに切り取られたような形状をしている建築物もあります。

 これらの建築物の形状は、デザイン性だけが考慮されてこのような形状になっている訳ではありません。

 現実的には、斜線制限や用途地域など複数の建築制限を受ける中で、これらの制限をクリアしかつ、有効に居住区間を確保するよう設計された結果このような形状となっているケースが大半なのです。

 尚、建築に関わる代表的な斜線制限には以下のような斜線制限があるので一緒に覚えておきましょう。

【主な斜線制限の種類と内容】
斜線制限の種類内容・測定の基準
道路斜線間口が接している前面道路の反対面の道路境界線を基準点として算出する
北側斜線建築物の北側にある土地の採光を確保できることを基準として算出する
隣地斜線道路を挟まない隣地との敷地境界線を基準点として算出する

※Point!斜線制限の種類は道路斜線・北側斜線・隣地斜線の3種が基本

◆道路斜線制限は主に住宅地が1.25・商業・工業地は1.5と覚えておく

◆道路斜線制限は主に住宅地が1.25・商業・工業地は1.5と覚えておく

 建築基準法には、道路斜線制限と呼ばれる建築制限が設けられております。

 この道路斜線制限とは、対象となる物件の迎えの土地の道路境界線から一定の割合で用途地域ごとに算出された想定斜線内に建築物を収めなくてはいけないという斜線制限を指します。

 但し、この規定は用途地域によって異なり、大きく分類すると第一種・二種の低層住居専用地域や同じく第一種・二種の中高層住居専用地域などの主に用途地域の指定が住宅地として発展するように指定されているエリアでは「1対1.25の割合」で道路斜線制限が加わります。

※住宅地は主に1対1.25の割合で道路斜線制限がかかる

 また工業地域などの道路斜線は緩和措置を除くと1対1.5の割合で道路斜線制限がかかってくることになります。

※商業地域や工業地域では主に1対1.5の割合で道路斜線制限がかかる

 道路斜線制限の緩和措置とは、ある条件を満たした場合は、基準と成る測定点が変化したり、斜線制限の度合いが一定率で緩和される措置のことです。

 建築物のセットバックに関してもこの緩和措置が規定されており、建築する対象となる土地の道路境界線からの建築物の外壁の距離がポイントとなります。

◆セットバックした距離分基準点も後退する

◆セットバックした距離分基準点も後退する

 具体的な道路斜線制限の緩和措置の内容を見ていきましょう。

 緩和措置が考慮されるケースとしては、道路境界線より建築物が外壁が後退しているケースです。

外壁の後退距離と緩和措置の図

 この場合、緩和措置が適用となるとセットバックした距離と同等の距離分を道路の反対側の道路境界線より外側に基準を求めるという内容になります。

 左の図で見ると、通常の道路境界線は赤いライン。

 しかし斜線制限に関し緩和措置が認められるケースの場合は、赤い点線部分が測定の基準値となるわけです。

 道路斜線制限の算出の基準となる、反対側の道路境界線の位置が、セットバック分後退するととらえるとわかりやすいかもしれません。

 ですからこの道路斜線の緩和措置の適用を受けるには、「設計の段階」で考慮する必要があり、設計者の力量によって道路斜線制限の緩和措置の効果が左右されるとも言えます。

 設計者はこれらの道路斜線制限だけでなく、様々な建築制限を考慮しながら設計を行っているのですね。

◆道路境界線から最も短い垂直の距離

◆道路境界線から最も短い垂直の距離

 建築物の外壁が平坦面ではなく大きな起伏や凸凹面がある場合のケースについて見ていきましょう。

 このように凹凸の凹面にあたる部分が大きい場合は、設計に関して緩和措置が講じられるケースがあることを耳にしたことがある方もいるかもしれません。

 これは、居住面積という視点から考えると不利ともなり得る凹の部分に対しての一定範囲内ではありますが考慮がなされている為です。

 しかし、道路斜線制限の緩和措置に関する外壁のセットバックに関しては自分の敷地の「道路境界線から最も短い垂直の距離」を外壁のセットバック緩和措置の算出に用いることになります。

 ですから凹凸の凹面は考慮されない事になります。

※Point!凹凸の凹面は考慮されない

◆屋根の軒の大きなせり出しは不利?

◆屋根の軒の大きなせり出しは不利?

 外壁のセットバックによる道路斜線制限の緩和措置を考慮する場合、凹凸の凸の部分に当たるもので最も大きく関与すると想定されるものは何でしょうか?

 これは屋根の軒部分ですね。

緩和措置を受ける際の後退距離の判定

 一般的な戸建て住宅の場合は、外壁よりも軒部分が外にせり出しているものです。

 この軒のせり出し部分が大きくなるほど、建築物が建っている敷地の間口にあたる道路境界線側に近づく可能性が高くなることになります。

 外壁のセットバックによる緩和措置は道路境界線から最も近い点を基準とするので、軒が道路側に出てくる建築物は効率が悪くなってしまうのです。

※Point!軒が道路側にせり出している建築物は道路斜線制限を大きく受ける

◆デザインだけじゃない住宅設計

◆デザインだけじゃない住宅設計

 道路斜線制限の緩和措置が見えてくると、設計者が色々工夫をしながらデザイン性を保ったり居住空間を保った建築物を設計していることが見えてきます。

 ちょっと思い浮かべてみると、道路側に軒が出ている住宅が少ない事もイメージが沸きますね。

 また隣地との距離がとても近接している物件では、かなり急勾配の片側に傾斜した屋根が続く戸建てが何棟も並んでいるような建売り住宅が多いことも理由がわかってきます。

斜線制限を受けた建売り住宅のとくある例

 元々ひとつの大きな土地だったものを縦に3分割したような建売り住宅などのケースですね。

 建築物の形状が一風変わって見えるものはデザイン的な面だけでこのような形状になっている訳ではないのですね。

 広い敷地を有する物件の場合はこのような「斜線制限」を心配することはあまりないかもしれません。

 しかし都心部地域の不動産ではこのような複雑な斜線制限を幾つも受けているのが通常です。

〜ポイントのまとめ〜
★斜線制限の種類は道路斜線・北側斜線・隣地斜線の3種が基本
★住宅地は主に1対1.25の割合で道路斜線制限がかかる
★商業地域や工業地域では主に1対1.5の割合で道路斜線制限がかかる
★凹凸の凹面は考慮されない
★軒が道路側にせり出している建築物は不利